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猫を飼っているお宅にお伺いして年間200匹以上の猫を撮影してきた経験から、自宅で猫を撮るときのちょっとしたコツなどを伝授します。(文と写真:風呂猫 板東寛司)
*東京新聞で毎週水曜日に連載中のコラム「うちのコを撮る!」のバックナンバーです。



No.18 ふたりで撮ると

 撮影は、たいていカメラマンの私と助手のふたりでモデル猫家庭に伺います。助手といっても、彼女はフィルムも入れられないくらいのメカ音痴。撮影そのもののアシストではなく、モデル猫を扱うのが主な仕事です。
 皆さんが猫を撮るときも、できればふたりでやるほうがうまくいくでしょう。組む相手は家族や猫が慣れている友人がいいですね。
 具体的なやり方はこうです。撮影者がカメラを構える背後に助手が張り付いて、猫の視線を上に向けます。これは、猫の目にキャッチライト(白い点)が入ると、パッチリ活き活きとより可愛く見えるからです。(写真参照)
 この時、光源(太陽や電灯など)との位置関係で、助手の存在が影にならないように気をつけてください。猫の視線をこちらに向かせるタイミングと、シャッターを切るタイミングを合わせて撮ります。
 ところで、うちの助手の特技は「仔猫だまし」。うとうとし始めた仔猫を寝かしつけて、ポーズを調整するのがうまいのです。かがみこんで、何やら低い声で話しかけているうちに、仔猫はすやすや寝息を立て 始めます。
「あれ、いつもなんて言っているの?」
「かわいいねー、いい子だねー、リラーックス、リラーックスって」
 要は子守歌の要領で、愛情を込めて接するということでしょうか。




No.17 背景を整理する

 アマチュア写真でありがちなのが、全体の構図や猫の表情はとてもいいのに、背景がうまく整理されていないのでゴチャゴチャしているもの。写真の中の情報量が多すぎて、主役の猫の魅力が前に出て来ないのです。(もっとも、逆に言えば、とてもパーソナルで家庭的な写真で、温かい感じがします。その家の様子や家族の趣味・性格などが想像できて、見るものに「写真を読む」楽しみを与えてくれますね。)
 さて、背景をうまく整理すると、伝えたいものがグッとクローズアップされて印象の強い写真になります。
 室内の壁が白っぽい時は、これを利用するのが手っ取り早いですね。猫が壁を背にした時に撮るのがよいでしょう。白い背景は、猫の全身を明るく見せる効果があります。その際、周囲に散らばった新聞・雑誌や雑貨のようなものはちょっと他のところに除けておいてください。できるだけ余計な物のない空間にいる猫を撮るのが基本です。出来上がった写真は、愛猫が視線を一身に集める存在になるでしょう。
 また、掲載写真のように、光のコントラストの差を利用する方法があります。室内は暗く、窓から差し込む光で猫だけが強調されているものです。
こんな条件で撮ると、背景が多少ゴチャゴチャしていてもあまり気になりません。




No.16 パーツの魅力

 私の著書のひとつに「猫の手」(文春ネスコ刊)という本があります。文字通り、猫の手(足?)ばかりを集めた写真集で、表紙も猫の肉球のアップ。私が撮った猫の手のポストカードを見た編集者の方からお話をいただいて出来たものです。以前から猫の手は面白いなぁと思って、猫を撮るたびに顔だけではなく、撮りためていたのをまとめました。
 猫は多面的な魅力を持つ被写体です。顔や全身のフォルムだけでなく、パーツもユニークで美しい。視点をちょっとずらしてパーツをねらってみると、あなたの猫写真のバリエーションがさらに拡がります。
・しっぽ 猫の尾は感情表現手段のひとつ。長い尾はピンと伸ばしたり、くるりと丸まったりと表情豊か。短い尾やカギシッポもキュートな魅力があり、後ろ姿のよいアクセントに。
・耳 敏感に物音に反応する瞬間を狙ってみる。クローズアップで撮るとうっすら血管が透けて見える繊細な美しさがあり、梶井基次郎が「切符切りでパチンとやってみたい」と言った気持ちがわかる(?)
・ヒゲ 毛色によってヒゲの色もグラデーションがかかっていたりする。猫は興奮するとヒゲがだんだん前にせり出して来てパッと拡がる。
・おなか 飼い主に対してならではの甘えポーズがシャッターチャンス。おなかの柄がチャームポイントになっている猫も多い。


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